API開発においてTypeScriptが最強である理由
モダンなWeb開発において、APIは「データの運び屋」です。
しかし、JavaScriptでAPIを扱う際、多くのエンジニアが「届いたデータが実はundefinedだった」「プロパティ名が1文字違っていてアプリがクラッシュした」という、いわゆるランタイムエラーの悪夢に悩まされてきました。
TypeScriptをAPI開発に導入する最大のメリットは、「通信の契約」をコードとして定義できる点にあります。
APIが何を返し、サーバーが何を求めているのかを「型」という名のドキュメントとして共有することで、フロントエンドとバックエンドの齟齬をなくし、開発速度と安全性を爆発的に高めることができます。
外部APIを型安全にコールする技術
フロントエンドからAPIを叩く際、最も危険なのは「何が返ってくるかわからない any」の状態でデータを扱うことです。
Fetch APIとinterfaceによる基本的な型定義
ブラウザ標準の fetch を使う場合、戻り値の型はデフォルトで any や unknown になります。
ここで、期待するデータの形を interface で定義し、型アサーション(as)やジェネリクスを活用しましょう。
interface UserResponse {
id: number;
name: string;
email: string;
}
async function getUser(id: number): Promise<UserResponse> {
const response = await fetch(`https://api.example.com/users/${id}`);
// ここで型を指定する
const data = (await response.json()) as UserResponse;
return data;
}ただし、as は「TypeScriptを信じ込ませる」行為です。
実際のAPIレスポンスが定義と異なれば、実行時にエラーが出ます。
この「信頼のギャップ」を埋める方法は第4章で詳述します。
Axiosを活用したスマートな型管理
実務で人気の Axios は、ジェネリクスを標準サポートしており、より直感的に型を付与できます。
import axios from 'axios';
const { data } = await axios.get<UserResponse>('/users/1');
// data は自動的に UserResponse 型として扱われるサーバーサイドでの型安全なエンドポイント構築
Node.jsでAPIサーバーを作る際も、TypeScriptは絶大な威力を発揮します。
ExpressとTypeScriptの組み合わせ
世界で最も使われている Express ですが、素のままではリクエストボディ(req.body)などの型が曖昧です。
@types/express を導入し、リクエストのジェネリクスを活用しましょう。
import { Request, Response } from 'express';
interface CreateUserDto {
name: string;
age: number;
}
app.post('/users', (req: Request<{}, {}, CreateUserDto>, res: Response) => {
const { name, age } = req.body; // 型補完が効く
res.status(201).json({ message: `${name} created.` });
});NestJSで実現するエンタープライズ級のAPI設計
より大規模なAPI開発には NestJS が推奨されます。
Decoratorを用いたDI(依存性の注入)や、DTO(Data Transfer Object)クラスによって、APIの仕様と型定義を完全に同期させることができます。
Zodによるランタイムバリデーション
本記事で最も伝えたい「TypeScript API」開発の核心です。
「型がある」と「正しいデータが来る」は別物
TypeScriptの型はコンパイル時に消滅します。
つまり、APIから「期待とは違うゴミデータ」が届いた場合、TypeScriptはそれを防げません。
これを解決するのが「ランタイムバリデーション」です。
Zodでスキーマ駆動開発を取り入れる
Zod を使うと、スキーマ(データの定義)から自動的にTypeScriptの型を生成しつつ、実行時にデータの検証も行えます。
import { z } from 'zod';
const UserSchema = z.object({
id: z.number(),
name: z.string(),
email: z.string().email(), // メアドの形式までチェック
});
// スキーマから型を抽出
type User = z.infer<typeof UserSchema>;
async function safeGetUser(id: number) {
const res = await fetch(`/api/users/${id}`);
const rawData = await res.json();
// 実行時に検証!ダメならここでエラーを投げる
const result = UserSchema.safeParse(rawData);
if (!result.success) {
throw new Error("APIのデータ形式が不正です");
}
return result.data; // ここでは 100% 安全な User 型
}End-to-End Type Safety(Hono / tRPC)
2026年現在のトレンドは、フロントエンドとバックエンドの境界をなくす End-to-End (E2E) Type Safety です。
- tRPC
-
API定義そのものを型として共有し、フロントエンド側で「サーバーの関数を直接叩く」ような感覚で、一度も interface を書かずに完全な型安全を実現します。
- Hono
-
超軽量なWebフレームワークでありながら、
hono/clientを使うことで、サーバー側のルーティング定義をフロントエンドが再利用でき、APIパスの入力ミスすらコンパイルエラーで防げます。
TypeScriptで堅牢なAPIエコシステムを構築する
「TypeScript api」というテーマを攻略するための鍵は、単に interface を書くことではありません。
- 取得時:
asに頼らず、ジェネリクスを活用する - 作成時: フレームワークの型定義を最大限活用し、DTOを徹底する
- 信頼性:
Zodなどのバリデーターで、型と実データを同期させる - 効率化: 可能であれば
HonoやtRPCで型を共有する
これらを意識するだけで、API起因のバグは劇的に減り、開発チーム全体の「安心感」になります。
型安全なAPI開発は必須条件です。

