フリーランスエンジニアを目指す人がいる中で、「末路が闇。」「やめとけ。」などネットで目にするかもしれません。
誰かに止められたからといって、フリーランスエンジニアを諦める人は最初からなるべきではありませんが、把握しておかなければならないポイントも存在します。
フリーランスエンジニアとして押さえておくべき内容を確認していきましょう。
一般的なフリーランスエンジニアのイメージ
一般的に、フリーランスエンジニアに対して世間が持つ一番のイメージは「自由」ではないでしょうか。
- 「自由な働き方」を手に入れている
- 「場所」に縛られることなく働いている
- 好きな仕事を選んでコントロールしている
上記のようなイメージを持つ方も少なくないと思います。
実際に、実現できているフリーランスエンジニアは存在しますが、一定のハードルを越えた人のみだと断言できます。
そのため、多くの情報サイトでも「フリーランスエンジニアはやめとけ。」「フリーランスエンジニアの末路は闇。」など悲惨なコメントが散見されます。
フリーランス全体の現状から一定のハードルとは何なのか詳しく解説します。
フリーランスエンジニアとして活躍してる年齢層
フリーランス協会におけるフリーランス白書によると、主な収入源となる職種が集計されています。
以下は、「フリーランス白書2023」の調査結果からTOP5の職種を記載しています。
主な収入源となる職種 | 割合 |
---|---|
クリエイティブ/Web/フォト系 | 26.6% |
エンジニア/技術開発系 | 14.8% |
出版/メディア系 | 9.9% |
コンサルティング系 | 7.9% |
通訳翻訳系 | 7.3% |
TOP5の職種を確認しても分かるように、エンジニア職種あるいはPC業務で実施する職種の割合が多いことが分かります。
また、フリーランスにおける年齢層の割合は以下になります。
年齢 | 割合 |
---|---|
25歳未満 | 0.6% |
25~30歳未満 | 3.8% |
30~35歳未満 | 10.0% |
35~40歳未満 | 15.5% |
45~45歳未満 | 19.8% |
45~50歳未満 | 17.3% |
50~55歳未満 | 16.5% |
55~60歳未満 | 9.5% |
60~65歳未満 | 5.4% |
65歳以上 | 1.6% |
上記の年齢層調査から30代から50代まで幅広い世代でフリーランスが活躍している現状になります。
そのため、職種調査と年齢層調査からフリーランスエンジニアは一定層活躍していることがデータから確認できます。
しかし、30代前半からフリーランスエンジニアが増えていく一方で、40代ピークから徐々に割合が減少していることも確認できます。
つまり、フリーランスエンジニアとして生き残る手段を確立しなければ、寿命が短くなっていることにも相関が取れます。
フリーランスエンジニアの適正年齢
結論は、フリーランスエンジニアの適正年齢は基本的にないと判断できます。
ただし、独立系フリーランス・副業系フリーランスどちらの働き方を選んでも、一定の実務経験や実務レベルのプログラミングスキルは求められます。
そのため、収入源となる案件/ビジネスさえ確保できれば、フリーランス転向を考えるタイミングが訪れることになるのかなと感じます。
また、どこまでいってもフリーランスエンジニアに限らず、フリーランスは個人事業主であるため独立における条件が人それぞれです。
自身で課した独立への条件が達成できたタイミングでフリーランスエンジニアになるため、適正年齢は特にないと判断してよいと思います。
フリーランスエンジニアは30~40代が最も多い
上記の年齢層調査でも示されているように、フリーランスエンジニアは30~40代にかけて多い年齢層になります。
おそらく、自身の生活防衛資金がまとまった額になっていること、スキルセットが一定数獲得できていること、案件探し(情報収集源)の体制が職種柄整備されていることなど独立しやすいタイミングだと考えます。
ただし、フリーランスといった働き方は、一般的にキャリアプランを自ら構築する必要があるため、雇用制度と異なり現状だと上手くいっている部分を切り取るのは悪手です。
そのため、フリーランスのメリット/デメリットの把握とともに、現実的なキャリアプランを形成しましょう。
フリーランスエンジニアの寿命が短い理由
そもそもフリーランスエンジニアの寿命が短くなる理由は主に3つです。
- 年齢による市場価値の低下
- 体調管理/時間管理の難しさ
- 限定的なエンジニア業務だけではない
- 開発案件が獲得できず収入が減る
- フリーランス特有の悩みで苦悩する
- 組織での活動に向いていたことに気付く
- 本業以外の業務で失敗する
それぞれの理由について解説します。
年齢のよる市場価値の低下
たとえスキルセットが豊富なエンジニアだとしても、年齢によって市場価値が低下する可能性が高まります。
特に30代後半から40代にかけて市場価値の低下は著しいです。
大きく大別すると、以下の2つが事実として突き付けられます。
- 求人側が若年層を求めている現実
- 年齢による経験値から扱いづらさが見受けられる
一つ目として、求人側が若年層を求めている現実があります。
基本的に、企業側の求人案件では社員をPM/PLに配置することが非常に多いです。
そのため、PM層がコントロールしやすい年齢として若年層を選択するケースが高いです。
また、二つ目として年齢が高いフリーランスエンジニアは良い意味でも悪い意味でも経験値が高いです。
開発現場での知識/ノウハウ/仕事内容など把握・理解が深いため、エンジニア自身が働きやすくするために企業へ求める制約も多くなります。
そうなると、風通しのよい開発環境づくりを考えても、若年層でスキルが最低限備わっているエンジニアを採用するケースが増えています。
体調管理/時間管理の難しさ
フリーランスエンジニアの収入を高めるためには、現実問題として案件を複数抱えることになります。
当然、1案件のみでまとまった収入が手に入ればよいですが、残念ながら半永久的に案件が継続することはありません。
そのため、常に複数の案件を抱えて収入の安定を維持しなければなりません。
そうなると、案件管理の中でも時間の振り分けを考える必要があり、特にメンタルの安定と時間確保の重要性が高まります。
限定的なエンジニア業務だけではない
フリーランスエンジニアは、実質個人事業主であり独立した一人起業(会社化するかは個人による)です。
会社は、組織化しているため所属組織・役職・現場業務など、立ち位置によって限定的な業務で収まります。
要するに、よっぽど横断的な立場ではない一般社員であれば、メイン業務以外ほぼ仕事はないわけです。
一方で、フリーランスエンジニアは一人営業・会計・開発・総務等、エンジニア業務以外も割合が増えてしまいます。
開発案件が獲得できず収入が減る
フリーランスエンジニアになったばかりの人は、特に収入が減少してしまう主な原因に悩まされます。
- 初案件がなかなか獲得できない
- 各案件の競争率の高さで動けなくなる
- 会社で通用したスキルがビジネス市場全体では需要がない
- 年齢を重ねてスキルと経験が問われ選考が厳しい
- 目の前の収入欲しさに低単価案件で疲弊する
特に、技術職上がりの人だと、案件獲得の流れや競争率の高さで退職後の仕事が手に入らない人も多く存在します。
また、特定技術の業務レベルが浅いとビジネス市場全体では需要が低く、改めてスキル習得でリスタートする人もいます。
これらの原因が元となり、結果目の前の収入確保で低単価ばかりの案件獲得になり、いままでの生活維持が難しくなります。
フリーランス特有の悩みで苦悩する
会社を退職すると、当たり前ですが給料日といった概念がなくなります。
もちろん、報酬の振込方法は案件にもよりますが、案件の数や案件の金額によって振り込まれる額は常に変動しています。
特に、フリーランス1年目から2年目であれば、フリーランス特有の収入変動で苦悩する人は数多く存在します。
また、長期的な収入源を獲得できたとしても、何が起きるかわからないフリーランスは土日休みもなくなると考えて差し支えないかと思います。
組織での活動に向いていたことに気付く
フリーランスになると基本的に一人での活動がメインになります。
個人開発はもちろんのこと、チーム開発案件にアサインされても業務以上の関わりはほとんどありません。
そのため、個人活動が孤独に感じて組織に戻りたくなる人も少なくありません。
改めて、個人活動か組織活動か向いている自身の働き方と向き合うとよいです。
本業以外の業務で失敗する
フリーランスエンジニアに限らず、フリーランスは本業以外に帳簿/金銭管理、発注書や請求書など全て自身で管理する必要があります。
また、白色・青色申告がある確定申告時など、所得や税金対策を怠って取り組むと収入が減少し大変な目にあいます。
さらに、これまで会社負担だった税金分や、確定拠出年金制度・国民保険など登録している制度の見直しも必須になります。
制度の切り替えなどで疲弊し、本業が疎かになるフリーランスも少なくないです。
フリーランスエンジニアの寿命を延ばす方法
上記の理由から、フリーランスエンジニアの寿命は短いと記載しましたが、寿命を延ばす方法も存在します。
要するに、寿命を延ばすために避けられないポイントがあります。
- 営業活動をエージェントに任せる
- ビジネスの軸を一つでも多く持つ
- プレイヤーからマネージャーへ
- 1エンジニアの業務範囲を拡大する
営業活動をエージェントに任せる
もともとメインであるエンジニア業務が疎かになってしまうのは本末転倒です。
当然ですが、営業活動で疲弊している場合ではなく、活用できるものがあれば猫の手も借りましょう。
そこで、フリーランスエンジニアに案件を斡旋してくれるエージェント活用は重要です。
ただ、残念ながら下請け構造からエージェント費用が高くなりますが、まとまった収入が手に入ることと今後の交渉の余地もあるため、無駄になることはありません。
ビジネスの軸を一つでも多く持つ
一般的なエンジニア業務は、案件に対して与えられた業務を遂行する労働型ビジネスです。
しかし、寿命が短い理由から年齢を重ねるにつれて市場価値が相対的に低下します。
そのため、副業あるいは別事業としてストック型ビジネスが長期的な延命措置になります。
現在は、WordPressによるエンジニア情報サイト運営、YouTube/Udemy等の学習教材配信/販売、スキルアウトソーシングサイトによるパッケージ販売など、ポートフォリオがあれば収入につながるビジネスが存在します。
個人ビジネスにおける時間投与がすぐに結果へ結びつくわけではありませんが、一度金銭発生すればメンタル安定にもつながり好循環になります。
プレイヤーからマネージャーへ
フリーランスエンジニアが最初に取るビジネス戦略は、「プレイヤーとしてどれだけ案件にアサインされるか」を考えます。
当然ですが、スキルを売りとするエンジニアとしてごく自然な流れです。
しかし、IT業界の技術トレンドは移り変わり、最新技術が生まれると常にキャッチアップが求められる背景があります。
そのため、エンジニアとしてのスキルアップと同時に、年齢や積み重ねてきたスキルセットをもとにマネジメント層への進出も考えるとよいです。
20代から30代前半まではスキル習得ばかりに目が行きがちですが、昨今企業のマネージャー不足からポジション取りも一考すると人材価値を高められます。
1エンジニアの業務範囲を拡大する
一般的に、プロジェクト開発の工程を考えると大まかに「企画」「要求・要件定義」「設計」「開発・製造」「テスト」「リリース」「保守運用」の流れがあります。
前提として開発工程ごとにスキルを発揮するのもよいですが、現実問題プロジェクトを進行する上で開発以外の業務も数多くあります。
例えば、新規の人材確保、開発メンバーのマネジメント、プロジェクトの進行方法(ファシリテーション)などなどです。
こういった、社内のエンジニア採用やプロジェクト管理などでも提案を積極的に実施し、開発以外の業務も社員から巻き取れると重宝されたフリーランスエンジニアになります。
フリーランスエンジニアの寿命が延びた成功事例
フリーランスエンジニアが取り組みやすいケースとして、以下のパターンがあります。
- ティーチング/コーチングが得意な人
- アプリ/ツール開発が得意な人
- ライティングが得意な人
- マネジメントが得意な人
- 技術のキャッチアップが得意な人
フリーランスエンジニアの中でも特性が分かれるため、それぞれの得意分野ごとに解説します。
ティーチング/コーチングが得意な人
まず副業や兼業でプログラミングスクール等のIT講師を専任できます。
上記よりも自身のコントロール配分を高めたい場合は、自身でコミュニティを形成するとよいです。
特に、未経験の方にとって現役エンジニアのスキルセットやノウハウは価値が高いです。
アプリ/ツール開発が得意な人
アウトソーシングサイトならランサーズ・クラウドワークス・ココナラが有名です。
筆者のおすすめはランサーズ・ココナラでのパッケージ販売です。
発注側から検索して連絡をくれるため、受動型の営業が可能になります。
ライティングが得意な人
すでにQiitaやZennなどのエンジニア情報サイトでの記事を投稿した経験があれば、取り組む価値があります。
即効性はあまりありませんがA8.netやもしもアフィリエイトに登録しておくと、PV数が増えていくにつれて広告案件などももらえるようになります。
マネジメントが得意な人
エンジニアにおけるマネジメント層の種類を大別すると、「TL(チームリーダー)」「PL(プロジェクトリーダー)」「PM(プロジェクトマネージャー)」になります。
要するに、スキルによって参画したプロジェクトに対して引っ張っていけるエンジニアは、クライアント企業から間違いなく重宝されています。
昨今、企業も正社員に限らずフリーランスの登用やオフショア開発など、雇用状態が様々な状況なのでフリーランスエンジニアでも提案すればマネジメント層にポジションを変えられるケースがあります。
技術のキャッチアップが得意な人
参画したプロジェクトの開発メンバーの中でも、圧倒的に技術情報のキャッチアップが優れている人は現場の開発メンバーから重宝されます。
実際に、メンバー層とマネジメント層はプロジェクト内の立ち位置が違うため、開発内容の課題解消をクリティカルに対応するのはメンバー層になります。
メンバー層に対して「リードエンジニア」のポジションを取り、メンバー層から信頼を高めていくと実質プレイング面の信用を獲得できます。
まとめ|フリーランスエンジニアの末路は闇なのか
フリーランスエンジニアは良い意味でも悪い意味でも、時間の使い方が自分次第です。
たとえエンジニア業務以外は取り組みたくない人であっても、高収入であれば別のフリーランスをスポットで雇うこともできます。
まさに経営と変わらないため、あなた次第で時間と自由が手に入ります。