現在、多種多様な働き方がある中でフリーランスエンジニアになりたい人が増えてきています。
特に、IT業界は働き方がコロナ渦以降でリモート業務が増加し、フリーランスへの道のりが辿りやすいです。
そんなフリーランスエンジニアの過ごし方について、興味関心を持つ人もいらっしゃるかと思います。
- 「フリーランスエンジニアのスケジュール感は?」
- 「フリーランスエンジニアの働き方は?」
上記のような素朴な疑問を解決する記事になります。
また、会社員の違いについても言及し、フリーランス希望である方の参考になればと思います。
フリーランスエンジニアの稼働時間
結論として、フリーランスエンジニアの稼働時間は、受け持った案件における仕事量と自身の働き方で変化するため、一概に特定の稼働時間を示すのは困難です。
ただ、一般的に企業で働く時間がフリーランスにも当てはまるケースが圧倒的に多いです。
なぜなら、企業から案件を受注するため、取引先企業の社員と連携しやすい時間を選択することが多いためです。
また、案件のパターンによってフレックスやフルフレックスなどありますが、基本的に時間幅は1日8時間×20日間=160時間の前後40時間程度に収まるかと思います。
【種類別】フリーランスエンジニアの主なスケジュール
フリーランスエンジニアの中でも、働き方に種類があります。
それぞれの働き方で1日のスケジュールが変化するため、把握しておくと取り組みやすいです。
- 常駐型のスケジュール
- リモート型のスケジュール
- 完全納品型のスケジュール
常駐型のスケジュール
常駐型のフリーランスエンジニアは、一般的に取引先企業へ出勤しオフィス業務をすることを指します。
そのため、基本的に取引先企業の社員と変わらず、時に社内MTGや名刺発行後にセールスエンジニアのように動くケースもあります。
当然、社員の方々とスケジュールが変わらないため、フリーランスとしての自由度は低めになります。
フリーランスエンジニアの中でも常駐型を選択した場合、企業の働き方と差はありません。
リモート型のスケジュール
リモート型のフリーランスエンジニアは、取引先企業ごとに稼働時間の取り決めがあります。
- 固定時間制
- フレックス制
- フルフレックス制
制度の呼び名はいくつかありますが、基本的に特定の時間を指定されるか、コアタイム以外は自由か、完全に稼働時間に裁量を持たされるか、といった自由度の違いになります。
また、リモート型は以下のツールを多用します。
- チャットアプリ(Slack/Google Chat/Discord/Chat Worksなど)
- ミーティングアプリ(Zoom/Microsoft/Teams/Google Meetなど)
- メールアプリ(Gmail/outlookなど)
当然、企業ごとに採用するコミュニケーションツールは異なりますが、上記を押さえておけば基本的に対応できます。
完全納品型のスケジュール
アウトソーシングサイトで一般的に受注する案件は、一回きりが多く完全納品型になります。
そのため、納品日が決まっているため、期日に間に合うのであれば稼働時間の裁量は任せられています。
ただし、現実的には極端に連絡を滞らせてしまうと企業からの不信感が漂ってしまうため、1次報告/2次報告といった進捗報告を実施するケースが多いです。
プロジェクト型案件とタスク型案件は大きく異なる
フリーランスエンジニアは、大別すると2つの案件型に分けられます。
2つの型はそれぞれ特徴が違うため、動き方を確認しておく必要があります。
- プロジェクト型案件
- タスク型案件
プロジェクト型案件の特徴
プロジェクト型案件の主な特徴は3つです。
- 高単価案件が多数
- チーム開発
- エンジニアの実績が必須
基本的に、チーム開発になりますが求められるポジションはPGからPMまで幅広いです。
そのため、ポジションと規模の大きさによって単価が増減します。
ただし、エージェント契約を挟むことが多いため、エージェント手数料を考える2案件以上に取り組むことになるかと思います。
なぜなら、継続案件とは限らないため、1案件のみの取り組みはフリーランスとして危険だからです。
タスク型案件の特徴
一方で、タスク型案件の主な特徴は3つです。
- 低単価案件が多数
- 個人完結型の案件が多い
- 未経験者でも案件が取りやすい
ここでは、一般的にアウトソーシングサイトにあるようなタスク型案件を考えていますが、数万単位の案件が多く高単価案件はプロジェクト型と比べて少ないです。
また、個人による案件受注がほとんどであるため、個人完結型になるケースが圧倒的です。(タスクで切り分けられているため。)
そのため、エンジニアレベルがあまり求められていないあるいは未経験であっても、案件内容が比較的に難しくないため、参画しやすく受注しやすいです。
ただし、副業レベルであればタスク型案件で問題ないですが、独立を目指すエンジニアであればプロジェクト型案件を取りに行きましょう。
フリーランスエンジニアと企業エンジニアのスケジュールの違い
フリーランスエンジニアと会社員のエンジニアのスケジュールの違いは、主に以下4つです。
- 出勤時間
- 稼働時間
- 残業時間
- 一週間の勤務日数
出勤時間
当然、働き方の制度がクライアントによって違えば、出勤時間も変化します。
特に、リモート勤務は魅力的であり、時間効率も高まるため年収を高めたいフリーランスにとって狙いたい働き方です。
稼働時間
稼働時間も制度によって固定時間制、フレックス制、フルフレックス制など様々な案件で変化します。
自身のプライべート時間を大事にした働き方を考える人は、フレックスかフルフレックスのフルリモートが望ましいです。
残業時間
残業代が出る案件もなくはないですが、残業時間自体はフリーランスに存在しません。
なぜなら、稼働時間は全て自身が決めるためです。
エンジニアスキルが乏しい時期は、能力開発として学習期間を設ける人もいます。(クライアント先の勉強会参加など)
一週間の勤務日数
案件によっては、土日の稼働も可能になります。
月のスケジュール管理も自身で設定できるケースもあるため、稼働日数を満たしていれば問題ない案件もあります。
フリーランスエンジニアにおける働き方の特徴
フリーランスエンジニアの働き方は、主に7つの特徴があります。
- 時給にすると正社員より高い場合がある
- 正社員と違う働き方が可能
- 数か月働いて数か月休むことも可能
- 残業がない
- ボーナスがない
- 動かないと収入ゼロになる
- 確定申告や請求書といった事務的業務がある
時給にすると正社員より高い場合がある
フリーランスエンジニアの相場などありますが、基本的に案件数と単価に合わせて時給を高められます。
ただし、注意点として案件における業務を効率化できた場合に限ります。
- 低単価案件が多数
- 個人完結型の案件が多い
- 未経験者でも案件が取りやすい
上記のようなケース以外だと、チームとの過度なコミュニケーションの発生やエラー修正、レガシーな開発環境など時間が取られてしまうケースも考えられるためです。
案件の精査は、事前のミーティングで念入りに聞きこみましょう。
正社員と違う働き方が可能
上述した通り、フリーランスの特徴は働き方の自由度にあります。
むしろ、自由度の恩恵を受けられないと判断できた場合、憧れだけでなるのは危険です。
理由は後述する特徴にもあるため、ここでは省略します。
数ヶ月働いて数ヶ月休むことも可能
ワークライフバランスを管理できる働き方としてフリーランスが有利であるため、案件管理や営業ノウハウも持っている人であれば、メリハリのある働き方は実現可能です。
ただし、実際にフリーランスの働き方に直面すると、ほとんどのフリーランスが会社員と変わらない(むしろもっと働いている)かなと感じます。
より豊かな状態を目指すあるいはFIREを考える人もフリーランスには多いため、フリーランスの立場を活かしビジネスを展開している人がほとんどです。
残業がない
残業といった概念がないため、基本的に残業代もないと考えて差し支えないです。(一部案件によってあるが、基本は報酬額が定められているため。)
フリーランスは自由な働き方を活かす人が多いため、時間を有効活用し軸を増やすために別事業を展開し、サービス運営などしているケースも多く見られます。
ボーナスがない
残念ながら、現実はメリットばかりではなく、デメリットもいくつかあります。
会社員との違いで言えば、ボーナス報酬がありません。
ある程度、会社で地位と結果を残し、ボーナス報酬が1.5~2ヶ月以上もらえているなら、会社+副業にシフトしてもよいかもしれません。
実際に、ボーナス分も稼働しなければならないため、ボーナスを見越した動きも考えておく必要があります。
動かないと収入ゼロになる
フリーランスは数ヶ月働いて数ヶ月休むことが可能といったメリットもありますが、裏を返せば収入ゼロの月が発生してしまうこともあります。
そのため、休暇期間中の支出も考えて働く必要性と休み明けの案件確保が必要になります。
フリーランス成り立てのエンジニアの場合、当たり前であった給料制がなくなった瞬間の月は恐怖だと思います。
事前準備は、全てやりきるに越したことはありません。
確定申告や請求書といった事務的業務がある
当然、フリーランスエンジニア(税金対策の観点から一部会社化する人もいます。)は基本的に個人事業主であるため、事務的業務が必ず発生します。
- めんどくさくて青色申告ではなく簡易な白色申告で確定する
- 源泉徴収や経費になるものなどをよく理解できていない
- インボイス制度(適格請求書発行事業者)を把握していない
取り組まなければわからないことも多いですが、概要や実施方法などは把握しておきましょう。
案件への取り組み方や選定基準、税金対策まで影響していきます。
フリーランスエンジニアにおける時間の有効活用方法
基本的にフリーランスエンジニアは、自身で選択した案件選定やスケジュール管理が可能です。
そのため、一般的にフリーランスエンジニアは余った時間あるいは計画的に余らせた時間を有効活用し、翌月につなげていきます。
以下は、フリーランスエンジニアが時間効率化あるいは生産性アップのために実施する主な項目です。
- プログラミングスキルの向上
- ITリテラシーの向上
- 体調管理及び運動計画
- 税金対策のための経費計算
- 新規/継続のための営業戦略立案
- エンジニア活動の発信
プログラミングスキルの向上
フリーランスエンジニアにとって、プログラミングスキルは重要な生命線の一つです。
当然、自身のマネジメントスキルや営業スキルといった付加価値も重要ですが、技術力がなければエンジニアとしてのアピールポイントが強固になりません。
案件の実績は、責任を持って技術を提供した証であり、あなたのスキルに対する土台を可視化した評価対象に他なりません。
つまり、プログラミングスキルの向上は高単価案件の獲得に直結します。
火を見るより明らかで生活ランクの上昇や金銭面の心配は技術提供と相対的になります。
生活の安定=技術研鑽であるフリーランスエンジニアであるため、日々の学習環境や高度な学習対象は定めておくべきです。
そもそも強い武器である技術を持ち合わせることで、企業であるクライアントから自然と求められる立場になります。
特に、わざわざオファーをかけてきた場合は、フリーランスエンジニア自身が有利に契約を進められるケースも多いです。
責任範囲の制定、価格交渉、働き方の提案など様々な恩恵はスキルセットから反映されていきます。
フリーランスエンジニアは会社員と比べ、比較的に保証された身ではないため仕事が常にあるとは考えないほうが良いです。
そのため、長期的な活躍を考慮すると、プログラミングスキルの向上は時間投資として必須になります。
ITリテラシーの向上
IT業界は、目まぐるしい速度での進化あるいはトレンドの移り変わりが激しいです。
例えば、DXによる業務改革、AIによる業務効率化、フルリモートによる働き方改革など、数年前では常識ではなかったことが今や常識の一部になります。
業界として変化が起きている中、そもそも成長や情報収集によって自身のスキルをトレンドに合わせないフリーランスエンジニアは市場価値が落ちていく一方です。
たとえ、唐突に案件損失や機会損失を感じない場合でも、いざ無くなった時に身動きが取れないと本末転倒です。
エンジニアであってもうまくいった際の過去に縛られていると、気付けばサンクコストがかさむばかりになります。
エンジニアのメリットは、プロトタイプや検証を簡単に実行できる立場にあるので、サンプルアプリを実施しながら次につながる行動を常にとりましょう。
体調管理及び運動計画
フリーランスエンジニアは、自身の体調管理も重要な管理指標になります。
なぜなら、会社員と違って残念ながら有給休暇制度や体調に関する福利厚生など皆無だからです。
20代で早くもフリーランスエンジニアになった人はわかりづらいと思いますが、30代を超えると驚くほど体力の衰えを感じます。
新規案件はさほど考慮することはないですが、継続案件は一度契約を打ち切ると簡単に取り戻すことは容易ではありません。
単月や3ヶ月単位で収入を一時的に多く獲得しても、一度休む期間を作り改めて新規案件に飛び込むのも振り出しに戻り無駄になります。
常に、案件に参画できる準備を体調面から整えることで、安定的な収入源を確保するのも重要になります。
税金対策のための経費計算
フリーランスエンジニアは、税金の支払いも全くサポートを受けることができません。
会社員であれば、税金のいくらかを会社負担によって義務化されていますが、フリーランスは負担分配がありません。
特に、税対策の知識が全くない新米フリーランスだとめんどくさいといった安直な考えで白色申告といった簡単な方法で済ましてしまうのも少なくありません。
さらに、経費項目である家賃按分やネット費やカフェ代、学習用で使った新聞図書費やパソコン代といった減価償却費など、知識不足や情報収集の足りなさから無駄な出費を余儀なくされます。
たとえ収入が多くなっても、収入額から税金額が算出されるため、経費で税金額を1円でも減らす施策を打たないと稼いだ分だけ翌年の税金で多く搾取されます。
フリーランスエンジニアは、収入といった稼ぐことばかりではなく、支出といった税を減らす施策も必ず時間があれば考えましょう。
新規/継続のための営業戦略立案
フリーランスエンジニアは、技術の価値提供を最大の武器にしています。
しかし、技術の価値提供ができるクライアントがいなければ、プログラミングができても価値がありません。
- 信頼を勝ち取ること
- 勤勉さを維持すること
- 営業先を確保すること
すでに案件を獲得できている人であれば、クライアントから信頼勝ち取ることを最優先しましょう。
理由としては、継続案件につなげることが最も安定的な収入源になるからです。
勤勉さの維持については、新規案件から継続案件に移り変わる時、あるいは価格交渉時に取り組んできた姿勢が評価を上げるケースが多いからです。
営業先の確保については、万が一全ての案件が無くなった時、すぐに案件獲得に動ける環境を整えておくことです。
特に、スキルシートやポートフォリオの更新作業は怠ると動きが鈍くなります。
常に、高単価案件に移れるようにあなたの価値を提示できるよう準備しておきましょう。
エンジニア活動の発信
フリーランスエンジニアは、SNSやエンジニアブログサイトなどの発信活動も重要です。
実際に、フリーランスエンジニア同士でつながることが珍しくなく、案件の横流しなどよくあることです。
主力言語の違い、得意な開発領域、得意な業界など、コミュニティ内で紹介しあうこともしばしばあります。
クライアント側が信頼したフリーランスエンジニアであれば、リファラル採用(知人紹介)が最も効率的で安心できる採用になります。
そのため、信頼・勤勉・戦略的なフリーランスエンジニアとして発信し、コミュニティを持つことで案件がなくなりづらい環境を作り出せます。
さらに、SNS(特にX)で発信活動をすると、案件紹介サービスを持つ営業マンから大量に連絡が届きます。
つまり、エージェントを抱えることが容易になるため、自身の活動時間を効率化するためにも発信活動は重要な行動になります。
まとめ|フリーランスエンジニアは自由な働き方が可能だが管理能力が必須
ざっとフリーランスエンジニアのスケジュールと働き方について解説しました。
最後まで読んでくださった方なら理解できたと思いますが、「自由な働き方を叶えたい!」といった理想だけで実現できるわけではありません。
特に、安定したフリーランスエンジニアを目指すのであれば、既知な各業務はできるだけ効率化しておくとよいです。
始めから失敗しようとフリーランスになる人はいませんが、独立後に失敗する人は共通して働き方の違いで痛い目を見ています。
まずは、フリーランスとして必須となる自身の徹底管理から始めましょう。